秩父の工務店
秩父・木の家専門店 夫婦で営むJIROKEN工務店 土屋賢次郎です。
今日は建築模型の話をさせてください。
模型とは、ただの縮小された家ではありません。
むしろ、それは未来の暮らしを手のひらに載せた、小さな奇跡です。
ある日、家づくりを検討しているご家族に模型をお見せした時のことです。
まだ幼い子どもたちが「これがぼくたちの家?」とキラキラした目で模型を覗き込む姿に、私は深い感動を覚えました。
模型は、そのご家族にとって「ただの計画」から「具体的な未来」へと変わる瞬間を作り出していました。
小さな窓一つひとつに、家族の明るい声や笑い声が聞こえてくるようでした。
建築模型を作る過程では、1ミリのズレも許されません。
壁の厚み、窓の位置、屋根の勾配。どれも実際の暮らしにどれだけ影響を与えるかを、模型は教えてくれます。
しかし、それ以上に大切なことは「どんな暮らしがしたいのか」という想いです。
模型を作る中で、お客様の想いや、そこに住む人々の未来が形になっていく。
そのプロセスが何よりの喜びです。
ある日、息子と一緒に段ボールで小さな家を作りました。
彼は屋根に秘密基地を作り、リビングに滑り台を設置し、勝手口を「宇宙への入り口」にしていました。
その家は、どんな建築家も思いつかない、自由で夢いっぱいの未来の家でした。
子どもの純粋な目で見ると、家とは「安全に過ごす場所」以上のもの――冒険、夢、そして愛を育む舞台だと気づかされます。
その時、私は「模型は夢を閉じ込めるものではなく、夢を広げるものだ」と改めて感じました。
完成した模型は、手のひらに載るほどの小さな存在です。
けれども、その中には未来の暮らしがぎっしり詰まっています。
光の入り方、風の通り道、家族が集うリビング、静かな書斎…。
模型を眺めていると、そこに住む人々の人生の一コマが見えてくるようです。
まるで建物が、その中に生まれる絆や物語をそっと教えてくれているかのように。
建築模型は、未来を語りかけてくれる特別な存在です。
その手触りや細部に宿るのは、設計者の想い、住む人の願い、そして「これから」を生きる家族の物語です。
もし模型を見る機会があれば、ぜひその小さな世界に耳を傾けてみてください。
きっとそこには、まだ見ぬ未来への希望が詰まっています。
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