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執筆者の写真JIROKEN

教育の在るべき姿




昨日、セミごっこをして遊んでいると会社の電話が鳴った。


私:「はい。JIROKENです。」


相手:「もしもし。土屋か?堀口だあ。」


私:「堀口さんですか?・・・」


相手:「おお。堀口だあ。お前が中学の時に大変お世話した堀口だ。」


私:「あー!堀口先生。どうしたんですか?」



電話の相手は中学の時の国語の先生だった。



先生:「助けてくれ。」


私:「どうしたんですか?」


先生:「玄関ドアが開かなくなった。」


私:「わかりました。今から行きます。」


先生:「いや。自宅ではなく別荘の方だ。俺も今は自宅にいるから明日見てくれるか?」


私:「わかりました。明日の9時に別荘に行きます。」


先生:「よろしく頼むよ。」





というわけで今日の朝9時に別荘に行き、鍵を壊して中に入り、後日部品が届き次第修理という事に。





この先生には30年くらい前、「人としての生き方、在るべき姿」みたいなものを教わった。


今でも鮮明に覚えている。


僕が中学3年生の時の放課後、暇だったので友達4人でバイクに乗って遊んでいた。


するとこの先生に見られたらしく、その後学校に呼び出された。


他の先生も含めて10人位の先生に囲まれて尋問を受けた。




先生達:「お前たち、バイクはどうやって手に入れた?どこから走り出してどこまで行った?」



私達:「バイク?乗ってないよ。俺たちヨシの家でゲームしてたよ。」



と、本当は乗り回していたのに嘘をつき続けた。確か夜の10時、11時くらいまで嘘をつき続けた。


そして何を思ったか、堀口先生が鬼の形相で言った。



堀口先生:「お前たち。本当に乗ってないんだな。」


私達:「乗ってないって言ってるだろ!」



僕はこのあと先生が「今回だけは見逃してやる。」とか「証拠がないからしょうがない帰っ

ていい。」とかそんな事を言うだろうと予想していた。しかし違った。


先生はいきなり僕らの前で土下座をした。



「悪かった。俺の見間違いだ。許してくれ。」



僕たちは言葉を失った。その場で「僕たちが嘘をついてました。」というべきだったが中学3年生の子どもには言えなかった。





それから23年後のある日、友達に堀口先生が秩父第一中学の先生をしている事を聞いた。


僕はあの時の嘘を謝りに行った。



私:「先生久しぶり。僕の事覚えてる?」


先生:「おー!悪ガキがでかくなったな。忘れるはずがないだろ。迷惑ばかりかけやがって。」


私:「先生。あの時の事を謝りに来た。」


先生:「あの時の事?何だそれは。」



そこで僕が説明すると。



先生:「そんな事があったか?覚えてないなあ。他にもいろいろ悪さばっかりしてたからなあ。そんな事よりお前、20年以上もそんな事考えてたのか。逆に可哀そうな思いをさせたなあ。」



38歳の僕は、やっと謝れた安堵感と先生の懐の広さと、何か良くわからない複雑な気持ちになりその場で号泣した。廊下を通りかかる中学生や他の先生の視線を気にせず号泣した。




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