2月と肉

秩父・木の家専門店 夫婦で営むJIROKEN工務店土屋賢次郎です。
先日、家族で焼肉を食べに行きました。写真は焼きそばを食べていますが...。
2月と肉で思いだす事があります。
18年前の2月1日、当時29歳の私はログハウスをつくる職人(ログビルダー)になりたくて日本を飛びだしカナダに渡りました。
お金はなかったので、河原や湖、駅などでねられるように大きなバックにテントや寝袋をつめて出発しました。
カナダのヴァンクーバー空港の自動ドアを出た時の解放感。
「あー!これから俺は右に行くのも左に行くのも、前に進むのも後ろに戻るのも全て自分の意志で決められる!」
とワクワク興奮したのを今でも鮮明に覚えています。
それから運良くログビルダーの仕事がみつかりましたが、毎日毎日、雨の中で丸太の皮むきやチェンソーでの作業。
ヴァンクーバーの冬は雨季で毎日が雨。
太陽を見ることはほとんどありません。
頑張れば頑張るほどお腹がすく。
お肉を買うお金がないので、毎日 野菜炒めをつくって食べていました。
ランチは米だけもっていって、同僚のポテトチップスの食べ残しをフリカケにして食べていました。
そんな生活が続き、もう限界だと思うと、社長がKeg(ケぐ)というステーキ屋さんに連れて行ってくれてお腹いっぱいお肉を食べさせてくれました。

美味しくてうれしくて涙を流しながら食べました。
いつか自分のお金でKegのステーキを食べてやると決意し、それが実現するまで1年半の年月がかかりました。
給料もすこしずつ上がり結婚を決めて、妻をカナダに呼び寄せました。
その時に初めて自分のお金でステーキを食べました。
確か2人で80ドル(約8000円)位でした。

そんな4年間のカナダでの貧乏で辛い生活でしたが、大事なことを感じることができました。
それは、日本のすばらしさ 故郷秩父のすばらしさです。
家族や友達の存在、四季や祭りの存在、日本食や郷土食の存在 武甲山や荒川の存在。
地元に住んでいる時にはあたりまえのものが、実はそうではなく私にとってはとても価値のある、心が和み安心するものだという事を実感しました。
この価値あるものを次世代のこども達に残していきたい。
将来 子ども達の心が疲れたときに癒してくれる故郷を残してやりたい。
そのために今私ができることを少しずつ頑張っていきたいです。