秩父・木の家専門店 夫婦で営むJIROKEN工務店 土屋賢次郎です
新しい年が始まり、我が家の息子(10歳)は「今年は穴掘りでスタートだ!」とはりきっていました。
その目には、まるで冒険が待っているかのように輝き、何時間もかけて穴を掘り続けるその姿に、少し驚きました。
今の私には、どうして何時間も穴を掘ることが楽しいのか、正直なところ理解できません。
しかし、息子にとっては、穴掘りは無限の可能性を秘めた「冒険」の一部であり、時間を忘れて没頭できる世界そのものです。
私が子どもだった頃も、庭を掘り進め、秘密基地を作ることにワクワクしていた記憶が蘇ります。
その楽しさは、単に「掘ること」自体にあるのではなく、掘り進めることで「自分だけの空間」が広がっていく感覚にあります。
小さな穴を掘っていくと、それは次第に秘密基地のような空間に変わり、そこで過ごす自分が中心となり、外の世界から少しだけちがう世界に行けるのです。
ただ掘るだけではないのが、息子の穴掘りの面白さです。
彼は掘り進めながら、「もしここから出られなくなったら?」と考え、階段を作り始めました。
小さな階段を掘ることを思いついたのです。
これはただの穴掘りにとどまらず、問題解決思考が育てられている瞬間です。
穴を掘ることで、自分の考えたことがどう作用するのかを試し、想像力や実行力が自然と養われるんですね。
息子が階段を作る姿を見て、「なるほど、こうやって思考能力が育まれるのだな。」と感心しました。
穴を掘るその作業自体は、確かに一見無駄に思えるかもしれませんが、息子にとっては、そこで「自分だけの場所」ができるという確かな実感があり、それが心の安らぎの場所となっています。
この幼少期の体験が、今後どんな形で彼の人生に影響を与えるのか、楽しみでなりません。
家を作る仕事をしている私にとって、この「秘密基地づくり」が家づくりの原点だったのかもしれません。
ワクワクする気持ち、安心できる場所をつくることへのこだわり。
まさに、私が家づくりで大切にしていることそのものです。
新年早々、息子と一緒に掘った穴は、私たち親子の思い出の一部となり、家づくりのアイデアにも繋がる大切な時間となりました。
息子は穴掘りを通じて、ただ土を掘るのではなく、自分だけの世界を作るという経験を積んでいます。
その無限の可能性を信じて、これからも一緒に家づくりの道を歩んでいきたいと思っています。
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