JIROKENの原点
― カナダの寒さと、ステーキの匂い ―
ログビルダーになりたい。
それだけで、日本を飛び出した。
行き先はカナダ。
手持ち金は70万円。
今思えば、無謀もいいところだ。
当然、すぐに底をついた。
言葉もわからない。
知り合いもいない。
「俺、何やってるんだろう」
そんな夜を、何度も過ごした。
仕事にありつけたのは、
本当に偶然だった。
友人が新聞の片隅に見つけた、小さな求人募集。
ダメ元で電話をした。
すると、
「一度、会ってみよう」
そう言ってくれた人がいた。
今でも、はっきり覚えている。
あれは、人生で一番ありがたかった
「会おう」だった。
そこからは、丸太との毎日。
カナダの冬は容赦がない。
朝は真っ暗で、息が白い。
冷たい雨が、体の芯まで染みる。
丸太は重く、まったく思い通りにならない。
叩いても、削っても、簡単には言うことを聞いてくれない。
体もきつかった。
でも、正直に言えば、一番きつかったのは気持ちだった。
もう限界だな、と思った日。
社長が、
「飯、いくぞ」
そう言ってくれた。
連れて行ってくれたのは、ステーキハウスだった。
ドアを開けた瞬間、
肉の焼ける匂い。
あたたかい空気。
店内のざわめき。
その全部が、胸にしみた。
ナイフを入れると、肉汁がじわっと広がる。
「いつか、自分の金でこの店に来てやる」
心の中で、そう誓った。
生活は、本当にギリギリだった。
それでも、不思議と逃げたいとは思わなかった。
拾ってもらった。
教えてもらった。
だから、仕事で返したかった。
恩返しは、口じゃなく、手と体でやるものだと
思っていた。
日本に帰って、自分の家を建てるとき。
迷いはなかった。
あの社長に、胸を張れる家をつくりたい。
そう思って建てたのが、今住んでいるこのログハウスだ。
図面を引きながら、
丸太を組みながら、
何度も
カナダの現場を思い出した。
この家には、技術だけじゃない。
悔しさも、寒さも、あのステーキの匂いも、
全部、詰まっている。
だからこの家は、ただの「自宅」じゃない。
私の原点であり、覚悟の証。
一生、大切に住み続けると決めている家だ。
あのとき、何も知らない自分を
拾ってくれた社長がいたから、
今の自分がいる。
そして、
この家があるから、息子に「大切にすること」を背中で伝えられている。
この家は、過去と未来をつなぐ場所。
そう思いながら、
今日も木に触れている。
連絡先
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困ったり、迷ったり、悩んだりしたら、
お話ししましょう。
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構いません。
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