魂のフルスイング
- JIROKEN

- 1 日前
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こんにちは。秩父・木の家専門店、JIROKEN工務店の土屋賢次郎です。
先日、野球の神様が、私に“奇跡”を見せてくれました。
いや、“勇気”と言ったほうがふさわしいかもしれません。
それは、少年野球の一打席──たった一打席に凝縮された、魂と魂のぶつかり合いでした。
最終回、スコアは2–3。
相手に一点のリード。
こちらの攻撃はツーアウト、ランナー1・2塁。
バッターボックスに向かったのは、息子のKSK。小学5年生。
対するは、もはや「少年」の枠を逸脱した相手ピッチャー。
身長170センチ越え。
球速は120キロオーバーとみられる、まさに“怪物”。
体格も、球威も、経験も──ぜんぶ違う。
試合を見ていた誰もが「これは無理だ……」と心の中で思っていたと思います。
それでも、KSKは恐れを見せずにバッターボックスに立ちました。
初球、ストライク。
二球目、ストライク。
普通なら、心が折れてもおかしくない場面。
――でも、彼は違いました。
「うおぉぉぉぉ!!!!」
グラウンドに響き渡る渾身の雄叫び。
そしてフルスイング。
「アッッッ!!!」
ファール。
また「アッッッ!!!」
またファール。
スイングの度に気迫の「アッッッ!!!」
すでに4球、5球目。
そして6球目、7球目。ファール、ファール、ファール。
対する投手も「アッーーーッ!!!」と叫びながら、魂を振り絞って投げ込む。
観客は息を呑む。
静まり返った球場、その真ん中で──たった二人の戦いが続いていました。
もはや、点差がどうとか、勝敗がどうとか、そんなことはどうでもよかったのかもしれません。
この瞬間だけは、「どっちが本物の野球少年か」という“プライドの勝負”。
力と力、気迫と気迫、命を燃やすようなぶつかり合い。
そして──9球目。
「アアァァーーーッッ!!!!」
打球は、ボテボテのセカンドゴロ。
でも、なぜだか目が離せない。
セカンドが弾く。
ランナーが帰る。
投げたボールが逸れている──!
2人の戦いの直後、試合は逆転勝利。
それでも、勝ち負け以上の何かが、そこに生まれていました。
試合後、息子が帰り支度をしているところに、相手チームの監督さんが歩み寄ってきた。
「背番号8番の子、いる?」
KSKを見つけて、言った。
「あの気迫、すごかった。本当にすごかった。あれを見て、うちのピッチャーも全力を出し切ったと思う。ありがとう。また勝負させてほしい。」
息子の目が少しだけ緩んだ。
本当に、誇らしげに笑った。
父ちゃんは、この一打席だけで胸がいっぱいです。
野球って、技術だけじゃない。体格だけでもない。
「この一球に命を懸ける」
──その気迫がある限り、誰だってのヒーローになれる。
そして、それを見守る大人だって、子どもから学ぶことは山ほどある。
グラウンドで汗と泥にまみれる少年たちにも、誇りがある。
今日、息子は、“本物の勝負師”になりました。
そして父ちゃんはまたまた彼のファンになりました。



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