「奇跡の一枚 〜17年前、松井秀喜さんに届けた子どもたちの夢〜」
- JIROKEN

- 2025年6月10日
- 読了時間: 3分

秩父・木の家専門店 夫婦で営むJIROKEN工務店土屋賢次郎です。
17年前のある日、僕らは夢を語っていた。
「地域の子どもたちとアメリカへ行こう。そして…エンジェルスの試合を観て、松井秀喜選手に会えたら最高だよね!」
地元の青年団体での企画だった。
アメリカへ子どもたち約20人を連れていく、というだけでも一大プロジェクト。
けれど、どうせ行くなら“夢”を乗せて旅したい。
そうして始まった「松井秀喜に会おう大作戦」。
もちろん、普通に考えたら無謀だ。
でも、無謀だからこそ燃えるのが“秩父の大人たち”。
会うにはどうしたらいい?
エンジェルスの球団に電話してみるか…?
国際電話の受話器を握った。
「Hell…Hello!私たちは日本の地域団体で、子どもたちとエンジェルスの試合を観に行きます。できれば松井選手に会いたくて…」
球団の女性スタッフは丁寧だったが、「後日、担当者から折り返しますね」と言われて電話は終わった。
――まあ、望み薄かな。
でも、奇跡は起きた。
数日後、知らない番号からの着信。
「Hello!エンジェルス球団の○○です」
「えっ!?」
驚きつつも思いを伝えると、
「OK!じゃあ試合の3時間前に球場に来て、私に電話してください。ロッカールームにご案内します」
夢が…現実になる。
子どもたちは大はしゃぎ。
寄せ書き入りの横断幕と、松井選手へのプレゼントを用意して、いよいよ渡米の日を迎えた。
そして…運命のフライト。
座席に座った僕は、なぜかすぐに眠りに落ちてしまった。
だが目が覚めた時、外に広がっていたのは青い空ではなかった。
――そこは、まだ成田空港だった。
機体トラブルで、数時間の遅延。
アメリカに着いた頃には、もう試合は始まっていた。
あの「3時間前の約束」には間に合わなかった。
それでも諦めきれず、試合後に係員へ
「日本から来て、松井選手に会う約束をしていたんです」と必死で訴えた。
だが、答えは「NO」。
悔しさと疲れで泣き出しそうだったが、それでも想いを託したかった。
持ってきたお土産と、子どもたちの寄せ書き入り横断幕を係員に託し、球場をあとにした。
――届かないかもしれない。そう思いながら、ホテルのベッドに倒れこんだ。
そして翌日――一本の電話が鳴った。
「Hello!エンジェルス球団の者ですが、どこのホテルにいらっしゃいますか?お渡ししたいものがありまして」
フロントで手渡された封筒の中には、1枚の写真が入っていた。
そこには、寄せ書きの横断幕を広げ、にこやかに笑う松井秀喜選手の姿が写っていた。
言葉が出なかった。
夢は、ちゃんと届いていた。
あの時の感動は、今も胸の奥に生きている。
子どもたちは今、もう立派な大人になっているだろう。
でも、あの“奇跡の一枚”は、きっと彼らの心にもずっと残っていると思う。
あの日、無謀な夢を信じて、本気で動いた自分たちにも拍手を送りたい。
夢を笑わず、叶えようとした大人たちの背中は、子どもたちの目にどう映っただろうか。
「夢って、本気で動けば届くことがある」
そう信じて、今日も僕たちは生きていく。



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