景色になる小屋
- JIROKEN

- 24 時間前
- 読了時間: 3分

秩父の畑の向こうに、まだ何も建っていない空き地があります。
でも、もうすぐそこに一つの小さな木の小屋が生まれます。
秩父木の家専門店、夫婦で営むJIROKEN工務店の土屋賢次郎です。
先日、お客様からとても嬉しい言葉をいただきました。
「実は…ほかの会社の方が安かったんです。」
え?と思いますよね。
でも、そのあとに続いた言葉がとても嬉しいものでした。
先日、とあるお客様が我が家に来てくださいました。
お話を伺うと都会と秩父の二拠点生活。
秩父では畑をやっていて、
「せっかく秩父で畑をやっているのだから自然の風景に似合う小屋が欲しいんです。」
そんなご相談でした。
私はまず現地を見に行きました。
敷地の広さ日当たり風の通り道そして周りの景色。
秩父は同じ地域でも土地の表情がまったく違います。
さらにお客様に
・どんな時間を過ごしたいのか
・誰と過ごす場所なのか
・畑仕事のあと、どんな時間を楽しみたいのか
そんなことをゆっくり聞かせてもらいました。
そして提案したのが
「ボード&バテン」
という工法の木の小屋。
外壁に板(ボード)を張り、継ぎ目に細い板(バテン)を重ねる工法です。
実はこの工法、私がカナダでログハウスを造っていたころに覚えた工法です。
20代のころ、私はカナダの森の中で丸太を組んでログハウスを造る仕事をしていました。
雪の降る日も仲間たちと巨大な丸太を持ち上げながら家をつくる毎日。
そのとき、カナダの大工がこんなことを言いました。
「家は、景色の一部になるようにつくるんだ。」
家だけが目立ってはいけない。
風景の中に自然に溶け込む家がいい。
その言葉は今でも私の家づくりの原点です。
だから今回も思いました。
秩父の畑の風景にこの小屋はきっと似合う。
そう思って提案しました。
すると後日、お客様が言いました。
「実は…ほかの会社にも見積をお願いしていました。」
そして少し申し訳なさそうに、
「正直に言うとJIROKENさんの方が少し高かったんです。」
…なるほど。
そうなんですね。
と思った瞬間、
続けてこう言ってくださいました。
「でも地元のJIROKENさんなら安心できるし丁寧な仕事をしてくれそうだったので。」
その言葉を聞いたとき
胸の奥で職人のスイッチがカチッと入りました。
小さな小屋です。
でも
畑仕事のあとにコーヒーを飲む時間
雨の日に屋根を打つ音を聞く時間
友達と笑いながら語り合う時間
そんな時間がこの小屋の中で生まれる。
そう思うと
小さな小屋でも手は抜けません。
その日の夜。
私は息子にこんな話をしました。
「今日な、うちの方が高かったのに仕事を頼んでくれた人がいたんだよ。」
すると息子は少し考えて言いました。
「パパがちゃんと仕事してるってことじゃん。」
…なるほど。
カナダの森で覚えた家づくり。
秩父の自然の中で続けている仕事。
そしてそれを見ている息子。
だから私は今日も
恥ずかしくない仕事をしています。
息子に胸を張れるように。
そして
秩父の畑の風景の中にまた一つ
静かに景色になじむ木の小屋が生まれます。
きっと何年か後、その小屋の前には野菜が並び、笑い声が聞こえてくるでしょう。
そんな風景をつくること。
それが
秩父で木の家をつくるJIROKEN工務店の仕事だと思っています。



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